目次
フォトブックで普及している印刷の種類
フォトブックの印刷は主に以下の5種類です。
- 粉体トナー4色印刷
- 液体トナー4色印刷(デジタルオフセット)
- 液体トナー6色印刷(デジタルオフセット)
- 銀塩プリント(印画紙出力)
- インクジェット7色印刷(DreamLabo5000)

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以下は、フォトブックを10年以上作り続けているフォトブックマニアが24社のフォトブックを同じ写真で制作し実際に比較した結果です【2023年最新】
参考:フォトブック24社を同じ写真で比較

粉体トナー4色印刷の特徴
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「粉体トナー4色印刷」は、業務用カラーレーザープリンターで印刷されています。顔料(鉱物・化合物など不溶性の着色料)と樹脂からなる固体のトナーを用紙に付着させ、加熱で樹脂を溶かして定着させる印刷方式です。
コピー機と同じ方式であり、一般的に液体トナーほどの高画質な写真印刷はできない代わりに、価格が安いです。激安価格のフォトブックは粉体トナーの4色印刷が多いです。
注意:同じ印刷方式でも、発色・色調はフォトブック業者により違います。また、粉体トナーの場合は印刷したタイミングによっても発色に差が出やすいです。(フォトブック業者の総合おすすめランキングはこちら)
- 他の印刷方法と比較して安いです
- 他の印刷方法と比較して納期が早いです
- 印刷部分に独特の「テカリ・光沢感」がでて、トナーが紙に乗った感じに仕上がります。ただし、使用されている印刷機によりテカリ具合にも違いがあります。
- トナーが紙の質感を損なうため、マットな用紙でもテカリのある仕上がりになりやすいです
- 他の4つの印刷方法と比べ色むらが出やすいです
- 他の4つの印刷方法と比べ印刷のタイミングにより発色に差が出やすいです
- 他の4つの印刷方法と比べ擦れによって印刷が禿げやすいです
- インクジェット7色印刷(DreamLabo5000)や銀塩プリントと比べると、網点(ドットパターン)が見えます
液体トナー4色印刷(デジタルオフセット)の特徴
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「液体トナー4色印刷」は、液体トナーを帯電した感光ドラムに静電気力で付着させて画像を形成し、それを用紙に転写・定着させる印刷方式です。
「デジタルオフセット」と表記されることもあります。
粉体トナーを使ったレーザープリンターの印刷方法と似ていますが、液体トナーは粉体トナーよりも粒子径が遙かに小さく、より高画質な印刷が可能です。
印刷機の例:HP indigo
注意:同じ印刷方式でも、発色・色調はフォトブック業者により違います。(フォトブック業者の総合おすすめランキングはこちら)
- 基本的に粉体トナー印刷と比較して高画質です
- エッジがシャープで小さな文字もはっきり読めます
- 印刷部と非印刷部でほぼ均一な光沢感になり、マットなツヤなし用紙なら、マットな質感に仕上がります
- インクジェット7色印刷や銀塩プリントと比べると、網点(ドットパターン)が見えます
液体トナー4色印刷のフォトブック
- マイブック(FLAT以外)
- 撮るだけフォトブック(通常仕上げ)
- フエルフォトブック
「4色印刷」とは、シアン(青)・マゼンタ(赤)・イエロー(黄)の三原色にキー(黒)(輪郭・濃淡を補うためのブラック)を加えた4色のインクまたはトナーを使用する印刷方式です。一般に「フルカラー印刷」と言えば、「4色印刷」のことで、フォトブックのオンデマンド印刷でも、4色印刷が一番普及しています。
キー(黒)は英語の key plate(鍵となる版)のことで、本来はオフセット印刷の製版の用語です。現在のオンデマンド印刷以前から、4色のイニシャルを取って4色印刷のことを CMYK と呼んできました。4色印刷では、CMYK 4種類のドット(網点)の密度を調節することであらゆる色を再現します。この網点を作るトナーの粒子径がより小さい方が、高解像度に印刷できます。
フォトブックサイトに「4色印刷」と記載されていても、先述の「粉体トナー式」か「液体トナー式」かの違いで画質がまったく変わるので注意しましょう。
液体トナー6色印刷(デジタルオフセット)の特徴
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液体トナー6色印刷(デジタルオフセット)は、「液体トナー4色印刷」と同じ印刷方式ですが、基本色 CMYK にプラス2色を追加しています。
この2色(通常ライトシアンLcとライトマゼンタLm)の効果で、4色印刷より網点(ドットパターン)が比較的見えにくく、諧調性が向上して滑らかなグラデーションに仕上がります。
印刷機の例:HP indigo
注意:同じ印刷方式でも、発色・色調はフォトブック業者により違います。フォトブック業者によっては、先述の「液体トナー4色印刷」より、発色が暗く残念な仕上がりになる場合もあります。(フォトブック業者の総合おすすめランキングはこちら)
- 基本的に粉体トナー印刷と比較して高画質です
- エッジがシャープで小さな文字もはっきり読めます
- 印刷部と非印刷部でほぼ均一な光沢感になり、マットなツヤなし用紙なら、マットな質感に仕上がります
- インクジェット7色印刷や銀塩プリントと比べると、少しだけ網点(ドットパターン)が見えます(肉眼ではほぼ気になりません)
銀塩プリントの特徴
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銀塩プリント(印画紙出力)は、印画紙自体に特殊な薬剤が塗られていて、レーザーの光を当てると化学変化で印画紙内部から発色する方式です。擦っても印刷が剥がれることはなく、超高画質で耐久性の高い印刷方式です。
写真屋・カメラ屋でプリントする「写真」と同じ方式であり、フォトブックや印刷商品では、その他の網点タイプの印刷方式と区別され「写真画質」や「写真仕上げ」と記載されている場合もあります。
網点(ドットパターン)は無く、グラデーションに優れた描写が可能です。
以前は高画質と言えば銀塩プリント(印画紙出力)という考えが一般的でしたが、今は業務用インクジェットプリンター(DreamLabo 5000)の進化により、写真の美しさは優劣つけがたくなりました。
印刷機の例:富士フイルムの「フロンティア」
注意:同じ印刷方式でも、発色・色調はフォトブック業者により違います。(フォトブック業者の総合おすすめランキングはこちら)
- 基本的に超高画質です
- ドットは見えず、グラデーションが滑らかです
- 耐久性に優れています
- エッジが柔らかいため、明暗差のある小さな文字はにじんだように見えたり、読みにくいことがあります
- 価格が高めです
- 使える用紙に制限があります
銀塩プリントのフォトブックは高級感があり、写真が柔らかい印象になります。七五三や成人式のフォトブックにはおすすめですが、細かい文字をたくさん入れた書籍には向きません。
銀塩プリントは特に明暗差のある文字の輪郭(エッジ)が甘くなりがちなので、小さい文字の印刷は読みにくくなります。
インクジェット7色印刷(DreamLabo5000)の特徴
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インクジェット7色印刷(DreamLabo5000)は、染料(水・油に溶ける着色料)が溶けた液体のインク粒を用紙に噴射し、加熱乾燥で定着させる印刷方式です。
銀塩プリントと近い滑らかな仕上がりですが銀塩プリントよりエッジがシャープです。網点(ドットパターン)は見えず、グラデーションに優れた繊細で美しい描写が可能です。
今まで高品位とされていた銀塩プリントに劣らない、またはそれに勝る超高画質な写真印刷です。
注意:同じ印刷方式でも、発色・色調はフォトブック業者により違います。(フォトブック業者の総合おすすめランキングはこちら)
- 基本的に超高画質です
- ドットは見えず、グラデーションが滑らかです
- 耐久性に優れています
- 価格が高めです
- 使える用紙に制限があります
インクジェット7色印刷(DreamLabo5000)のフォトブック
現在、フォトブック業界で普及している業務用インクジェットプリンターは、キヤノンの業務用インクジェットプリンター DreamLabo 5000 です。
キヤノンではこの機種を業務用フォトプリンターと位置づけ、写真印刷でハイライト部のグラデーション(諧調表現)をより滑らかにするためのフォトシアン(明るいシアン)・フォトマゼンタ(明るいマゼンタ)の2色と、カラーバランスを安定させるグレーを追加しています。
DreamLabo 5000 は、純正の7色染料インクと他社には真似のできない高精度なノズル技術により、深みのある色調と美しい諧調表現の写真印刷が可能です。
フォトブックの画質を決めるのは、インクの数や印刷方式だけではありません。
発色・色調・色の再現性など、フォトブック業者により違いがあります。
同じ印刷方式でも、発色・色調・色の再現性は、フォトブック業者によりかなり違いがあります。
※印刷方式の中でも「粉体トナー」タイプは、印刷のタイミングにより発色が変わりやすいですが、その他の印刷方式は、業者ごとに発色の「傾向」があります。(A社は白っぽい、B社は暗い、C社はコントラストが強い、など)
フォトブックの印刷画質を左右する要素
- 印刷方式
- トナー・インクのタイプ
- トナー・インクの色の数
- プリンターのメーカー
- プリンターの機種のバージョン(同じメーカーでも最新機種と旧機種では画質が違う)
- 印刷用紙・印画紙の種類
- フォトブック各社独自の色調の設定・明度などの補正設定
- オペレーターの技量
など、多くの要素が画質に影響します。

やはり実際にフォトブックを注文・印刷・比較してみなければ、最終的な仕上がりはわかりません。
当サイトでは同じデータを印刷して比較することで、フォトブック業者選びで迷っている方に、少しでも有益な情報をお届けしたいと思っています。
フォトブックの印刷に主に採用されているプリンターを比較
キヤノン DreamLabo 5000
業務用インクジェットプリンターの最高峰

引用:https://cweb.canon.jp/dreamlabo/lineup/dreamlabo5000/
キヤノンの業務用インクジェットプリンターDreamLabo 5000のプリントヘッドは、口径約1ミクロン(1,000分の1ミリ)のノズルが20×16ミリの小さなチップに6,000個以上も配置されています。
ノズルからは、最小1ピコリットル(1兆分の1リットル)という極小のインク滴が高速で噴射され、用紙の正確な位置に着弾します。業務用とオフィス・家庭用とを問わずキヤノンのプリンターに採用されている、業界随一の超ハイテクプリントヘッド技術です。
DreamLabo 5000 は、この高密度プリントヘッド技術と純正7色染料インク、専用写真用紙を使用することにより、画像の暗部やハイライト部でも優れた色再現性となめらかな諧調表現を実現します。高品位の銀塩写真やオフセット印刷をも上回る透明感、重厚感、立体感のある写真印刷が可能です。
HP Indigo Digital Press
高画質な業務用プリンターの先駆け

引用:https://jp.ext.hp.com/printers/digital-presses/indigo/
HP Indigo Digital Pressは、キヤノンの DreamLabo 5000 が登場するまで、オフセット印刷に匹敵する高画質なオンデマンド印刷機として最高の評価を得てきた液体トナーの印刷機です。(デジタルオフセットと記されることもあります)
粉体トナーの業務用レーザープリンターには真似のできない美しい写真印刷が可能です。
富士フイルムのフロンティア
銀塩フォトブックに使用する印画紙は、デジタルミニラボ機で出力されます。
デジタルミニラボ機でもっとも普及しているのは、富士フイルムの「フロンティア」シリーズです。
高速レーザー露光ユニット、デジタル画像処理ソフトウエア「Image Intelligence」より、写真屋さんでプリントしてもらう写真と同等な高画質の印画紙出力を実現します。
富士ゼロックスの Color 1000 Press
コストパフォーマンスと汎用性が高く、小ロットのチラシ・DMなどの用途で使われているオンデマンド印刷機としてはハイエンドモデルです。
標準的な「粉体トナー」の業務用レーザープリンターですから、フォトブックで写真の美しさを求める人は、その印刷に物足りなさを感じることでしょう。
しかし、その分安価・格安になることがメリットです。価格に見合ったクオリティでお安いフォトブックを購入できます。
印刷方式による印刷の耐久性を比較
先述の印刷方式の違いにより、耐久性にも違いが出ます。
粉体トナー4色印刷の耐久性は?

粉体トナー4色印刷のフォトブックに消しゴムを30回かけてみました。(しまうまプリント)
低価格の粉体トナー4色印刷のフォトブックで、表面加工がないフォトブックは一般的に、消しゴムでこすると印刷が剥げ、こすった部分が白くなります。(通常の使用で消しゴムでこすることはありませんが、長期にわたりページをめくることによる「擦れ」はある程度あるかもしれません。)
銀塩プリントと違い水濡れにも弱いため、記念アルバムや思い出の写真集として長期間いつまでも大切に残しておきたい作品には向かないかもしれません。
激安フォトブックは安い・手軽が最大のメリットですので、価格に見合った品質と言えます。
液体トナー4色/6色印刷の耐久性は?

液体トナー4色印刷のフォトブックに消しゴムを30回かけてみました。
上記液体トナー4色印刷のフォトブックは、表面加工をしていませんが、消しゴムを30回かけても大きな損傷は受けていません。粉体トナー4色印刷のフォトブックより耐久性があることがわかります。
液体トナー6色印刷のフォトブックも印刷方式は同じなので、表面加工がない場合、印刷の耐久性はあまり変わらないものになるでしょう。(用紙により多少差は出ます)
インクジェット7色印刷(DreamLabo)の耐久性は?

インクジェット7色印刷(DreamLabo)のフォトブックに消しゴムを30回かけてみました。
インクジェット7色印刷(DreamLabo)のフォトブックは、消しゴムを30回かけてもほぼ損傷を受けませんでした。印刷の剥がれはゼロです。(表面のツヤだけは消しゴムをかけた部分が曇りました。)
インクジェット7色印刷(DreamLabo)のフォトブックは、アルバム保存(印刷面が空気に触れない状態での暗所保存)約300年、耐光性約40年という驚異的な耐久性も実現しています。
銀塩プリントの耐久性は?

銀塩プリントのフォトブックに消しゴムを30回かけてみました。
銀塩フォトブックでは富士フイルム「フロンティア」シリーズと純正印画紙のフジカラーによる銀塩プリントが主流です。こすっても印刷がまったく消えず、水に濡れても滲みません。
フォトブックの用紙
フォトブックの用紙も、フォトブック業者により様々な選択肢が出てきました。
フォトブックマニアでは光沢の強さで以下4つに分類しました。
用紙の光沢感によっても仕上がりの印象がかなり変わります。詳しくは以下ページをご覧ください。
紙の厚みについては以下ページをご覧ください。
「オンデマンド印刷」って何?
フォトブックのサイトには、印刷方式として「オンデマンド印刷」と記載されている場合がありますが、フォトブックの印刷は、基本的にすべて「オンデマンド印刷」です。
オンデマンド印刷=少部数・短納期の印刷注文に迅速に対応できる印刷のことです。
大ロット商業印刷の主流である「オフセット印刷」は、製版と試し刷りに時間・経費がかかるため、少部数・短納期の印刷では単価が高くなります。一度に数千部から1万部以上も発注する大量印刷にこそ適している印刷方式です。それに対して、経済的な少量印刷を意味する反対語として「オンデマンド印刷」の語が用いられています。
オンデマンド印刷は、バブル崩壊の影響で小ロットの印刷ニーズが増え、それと相前後してグラフィックデザインのデジタル化と業務用のインクジェットプリンターやレーザープリンターの開発が進んだことで、急速に普及しました。
「オンデマンド印刷」の本来の意味は、上記の通り「少部数・短納期の印刷注文に迅速に対応できる印刷のこと」なので、フォトブックの印刷は基本的にすべて「オンデマンド印刷」です。
印刷方式がフォトブックサイトに記載されていない場合は?
フォトブック市場に限れば、高画質な「銀塩プリント(印画紙出力)」や「DreamLabo 5000 」は間違いなくサイト上にその印刷方式が記載されています。
それ以外の印刷方式のフォトブックは、印刷方式が明記されていないか、「オンデマンド印刷」とサイトに記載されている場合が多いです。記載がなければ粉体トナーまたは液体トナーの4色印刷でしょう。また、液体トナー「6色印刷」の場合も、「6色印刷」と記載されています。